ハローワークで仕事を探しながらお金を借りる方法とは?

ハローワークでお金を借りる相談ができるということをご存知でしょうか?
職探しだけでなく、ハローワークでお金を借りることができるなんて、驚きですよね!

ここでは、ハローワークで求職活動をすることにより受け取ることができる給付金と、ハローワークを通して低金利でお金を借りることができる貸付制度について詳しく解説します。

目次

仕事探しだけじゃない!ハローワークの役割とは

ハローワーク(公共職業安定所)は、国民の安定した雇用を確保するため、国が設立した行政機関です。

仕事探しについての相談や就職の斡旋を行っていますが、それだけではありません。
失業保険の認定をして支給するという業務や、職業訓練の窓口、給付の手続き、貸付制度の斡旋を行っています。

ここでは、仕事を探しながら給付金をもらったり、貸付制度を利用してお金を借りるなど、仕事探しだけじゃないハローワークの役割を紹介します。

①失業等給付の支給

ハローワークでは、失業中の人が安心して仕事を探し、一日も早く再就職ができるよう、失業等給付の支給を行っています。

失業保険を受給するには、窓口で職業相談・職業紹介を受けるなどの求職活動を行う必要があります。
また、ハローワークに求職の申し込みをしている人で条件が合えば、ハローワークが指定する無料の職業訓練を受けられる制度もあります

②各種貸付金制度の利用相談

失業などで日常生活が困難になった人を対象に、ハローワークでは各種貸付金制度を利用して、公的支援を受けてお金を借りることの相談も行っています。

ハローワークの貸付金制度には、様々な種類があります。詳しくご紹介しましょう。

【方法1】ハローワークの職業訓練を受けてお金をもらう「職業訓練受講給付金」

【方法1】職業訓練を受講して給付金をもらう「職業訓練受講給付金」

貸付金制度のまず一つ目に、「職業訓練受講給付金」があります。

そもそも職業訓練とは、ハローワークで求職の申し込みをしている人を対象に、早期に就職を決めるための職業訓練の講座を受講できるシステムです。雇用保険の受給者でなくても受講することが可能です。

職業訓練を申し込む際は、ハローワークが受付印を押した受講申込書を各訓練機関に提出します。面接を経て合格すると、ようやく訓練を受けながら受給することができます。

しかし月に1度は必ずハローワークに行き、その時点での経済状態を報告しなければなりません。

①返済がない職業訓練受講給付金(求職者支援制度)とは?

ハローワークでは失業給付を受けることができますが、期間を過ぎてしまうとお金をもらえなくなり、収入が無くなってしまいます。

ですが、ハローワークで行っている職業訓練を利用し一定の条件を満たせば、訓練期間中は生活支援をするための職業訓練受講給付金というお金の給付を受けることができます。この職業訓練受講給付金は給付ですので、お金を借りるわけではありません。したがって、返済する必要もありません

給付金を受給するための条件とは?

  • ハローワーク所定の訓練校に通えること
  • 現住所以外に土地、建物を所有していないこと
  • 申し込み本人の収入が月額8万円以下であり、さらに世帯全収入が月収25万円いかであること
  • 全ての訓練実施日に出席している人
  • 同じ世帯の中に現在職業訓練受講給付金を受給して訓練を受けている人がいないこと

以上の条件が全て当てはまる人は給付対象者となる可能性があります。
受給できれば原則1か月毎に月額10万円と通諸手当(上限あり)が支給されます。

職業訓練受講給付金の申請方法

職業訓練受講給付金の申請窓口は、原則として住所地を管轄するハローワークになります。
まずは窓口に行き、相談の後申し込みましょう。

さらに詳しくは、こちらをご覧ください。
厚生労働省「求職者支援制度のご案内」

②職業訓練受講給付金で足りない場合は、労働金庫(ろうきん)の融資制度「求職者支援資金融資」を利用可能

職業訓練受講給付金を受給しても、そのお金だけでは生活費が足りないという場合は、希望に応じて労働金庫(ろうきん)の融資制度を利用しお金を借りることができます

この制度の窓口はハローワークになりますので、ハローワークで貸付要件の確認などの手続きを行い、その後ハローワークが指定する金融機関(労働金庫)で貸付の手続きを行い、お金を借りることができます。

求職者支援資金融資の詳細

・融資額
借りることができるお金は一人世帯で月額5万円まで、二人以上世帯の場合は月額10万円までです。

・返済期間
融資総額50万円未満の場合は5年以内、融資総額50万円以上の場合は10年以内。※あくまでも貸付ですので、利息を含めてお金を返す必要があります

・利息
固定金利 年2.5%(保証料として別途0.5%が必要)。

ろうきんでお金を借りるメリット・デメリット

【方法2】雇用保険受給の対象外の場合も借りることができる「生活福祉資金貸付制度の総合支援資金」

2つ目の制度は、「生活福祉資金貸付制度の総合支援資金」です。

①そもそも、生活福祉資金貸付制度とは?

生活福祉資金貸付制度」とは、失業中などの理由で生活が困難になった場合に受けられる可能性がある公的支援です。

対象は低所得者障碍者高齢者世帯で、大きく分けて「総合支援資金」「福祉資金」「教育支援資金」「不動産担保型」の4種類の貸付制度があり、それぞれの世帯の状況によって受けられる貸付は異なります。

この制度を利用してお金を借りるための条件は、世帯の住民税が非課税になっていることや、障碍者世帯または高齢者世帯であることです。
申請用紙を交付されたら必要書類を準備し、申し込みをしてください。審査が通ればお金が振り込まれます。

返済期間は、以下のように、その種類によって違います。

生活支援金や住宅入居費、生活再建費などの「総合支援資金」
6カ月間の据置期間をおいてから、10年間で返済。

福祉費や緊急小口資金の「福祉資金」
貸付日から2ヶ月以内の据置期間をおき、1年以内で返済。

教育支援金や就学支度費の「教育支援資金」
貸付日から2ヶ月以内。
子供が学校卒業して6カ月間の据置期間をおき、20年以内で返済。

まずはハローワークで相談するか、お住いの市区町村の社会福祉協議会の窓口で相談してみましょう。
市役所で借りる方法を詳しく見る

②総合支援資金とは?

現在失業中で、ハローワークへ求職の申し込みを行っている人は「総合支援資金」で貸付の申し込みができます。
連帯保証人がいれば無利息、いなくても実質年利率1.5%と、非常に低金利でお金を借りることができます。

基本的に失業保険との併用は不可ですので、ハローワークで求職活動をしていても雇用保険受給の対象外という人が利用できる制度になります。
また、原則として住居がある人を対象にしていますので、住居のない人は後ほどご紹介する「住宅確保給付金」を申請しましょう。

総合支援資金の申請方法

相談窓口はハローワークの他、最寄りの社会福祉協議会、または市役所・区役所等の自治体の福祉課で行うことができます。

総合支援資金の詳細

・融資額
一人世帯は月額15万円、二人以上世帯では月額20万円を最大12カ月間借りることが可能。また引っ越し資金として上限40万円、一時生活再建費として上限60万円の貸付を受けることもできます。

・返済期間
据置期間があるので、最終貸付日から6ヶ月以内は返済を待ってもらえます。返済期間は、据置期間後10年以内です。

・利息
連帯保証人がいれば無利息、いなくても実質年利率1.5%。

さらに詳しくは、こちらをご覧ください。
厚生労働省「生活福祉資金貸付条件等一覧」

【方法3】生活の場を保持するためのお金をもらう「住居確保給付金」

【方法3】生活の場を保持するためのお金をもらう「住居確保給付金」

3つ目に、「住居確保給付金」があります。

①住居確保給付金とは?

家賃を支払うことができない緊急事態に利用したいのが、地方自治体が行っている住居確保資金の支援「住居確保給付金」です。
こちらも給付型となりますのでお金を返済する必要はありません

地方自治体によって異なるものの、東京都の場合は単身者で月額53,700円を原則3カ月間(最大で9カ月間)受け取ることが可能です。
ただし収入条件があり、月額収入が84,000円以下でなければ対象外となります。

支給条件

  • 住宅を喪失又は喪失する可能性が有る人
  • 離職後2年以内かつ65歳未満の人
  • 離職前に世帯の生計を主に維持していた事
  • 再就職の為に、最低でも規定された就職活動を行う事
  • 申請者と同一世帯の者の合計収入が、基準額と家賃(支給限度額が上限)の合計以下である事
  • 申請者と同一世帯の者の預貯金等の合計が基準額の6倍(又は100万円)以下である事
  • 申請者及び同一世帯の者が住宅確保給付金と類似の給付(職業訓練受講給付金や生活保護など)を受けていない事
  • 申請者及び同一世帯の者が暴力団員でない事

以上8つの支給条件を全て満たす必要があります。

住居確保給付金の申請方法

相談先はハローワークまたは地方自治体の福祉課となり、実際申し込む場合は、地方自治体の自立支援相談窓口になります。
ハローワークで相談した結果、借りることができそうだと言う場合は、直接地方自治体の自立支援相談窓口に出かけて相談しましょう。

職業訓練受講給付金をもらいながら住宅確保給付金の支援を受けることができれば、資格を無料で取得することもでき、なおかつ賃貸住宅の家賃の心配がありません

さらに詳しくは、こちらをご覧ください。
厚生労働省「住居確保給付金」
厚生労働省「住居確保給付金相談コールセンターを設置します」

【方法4】給付金申請中の期間に必要な生活費を借りるには「臨時特例つなぎ資金」

【方法4】給付金申請中の間の生活費には「臨時特例つなぎ資金」

4つ目の方法は、「臨時特例つなぎ資金」です。

①臨時特例つなぎ資金とは?

臨時特例つなぎ資金貸付制度とは、各都道府県の社会福祉協議会が主体となって生活保護などの給付金が支給されるまでの期間を支援することを目的とした貸付制度です。

ハローワークで斡旋している各種貸付金や給付金を受け取るまでには、ある程度の期間が必要になります。しかし、生活するためのお金は今すぐ必要ですよね。

給付・貸付けが開始されるまでの間、公共料金の支払いや食費など、当面の生活費の支援が必要な場合は、この臨時特例つなぎ資金の貸付を活用できます。
上限10万円までのお金を、なんと無利息・無担保・連帯保証人なしで借りることができる制度です。

借りるための条件は、失業等給付、住宅手当などの公的給付制度または就職安定資金融資などの公的貸付制度の申請が受理されており、給付の開始までの生活に困窮していること。本人名義の銀行などの口座を持っていること。
これらの条件に該当し、かつ住居のない離職者であることです。

臨時特例つなぎ資金の申請方法

貸付を希望する場合は、各市区町村の社会福祉協議会の窓口で相談を受け付けています。
社会福祉協議会は、行政から福祉関連の業務を委託された民間の団体で、生活保護などの申請を行う役所の福祉課などとは違い、それぞれの地域にある福祉会館などにあります。

さらに詳しくは、こちらをご覧ください。
厚生労働省「臨時特例つなぎ資金貸付制度」

ハローワークなど国からお金を借りる際のメリット・デメリット

ハローワークなど国からお金を借りる際のメリット・デメリット

メリット

  • 低金利または無利子でお金を借りることができる
  • 国が運営している制度であり、生活に困窮している人を救うためのセーフティーネットなので、安心して利用ができる
  • 市役所や区役所、ハローワーク等を利用してお金を借りるので相談もしやすい

デメリット

  • 利用するには条件が細かく、誰もが利用できる制度ではない
  • 提出しなければならない必要書類が多い
  • お金を借りるまでに時間がかかる

なお、ハローワークでお金を借りるには、他にも条件があります。
それは、パートやアルバイトでも構いませんので、毎月安定して稼ぐことができる仕事をしていることです。(月5、6万円程度でも)
パートやアルバイトであれば、昼間は仕事をし、前後の空いた時間にハローワークで求職活動を行うこともでき好都合ですね。

当たり前ですが、お金を借りる先がハローワークでも、もちろん返済しなければなりませんので、返済能力のない人は借りることはできません。
もっとも、きちんと求職活動をしながら、一日でも早く希望の仕事に就けるようにしていきましょう。

まとめ

1.ハローワークは、「失業等給付の支給」と「各種貸付金制度の利用相談」ができる

ハローワークでは、仕事を探しながら給付金をもらったり、貸付制度を利用してお金を借りるなど、仕事探しだけじゃない役割がある。

2.種類はこの4つ!「職業訓練受講給付金」「総合支援資金」「住居確保給付金」「臨時特例つなぎ資金」

  • 職業訓練を受講して給付金をもらう「職業訓練受講給付金」
  • 雇用保険受給の対象外の場合も受給できる「生活福祉資金貸付制度の総合支援資金」
  • 生活の場を保持するための給付金をもらう「住居確保給付金」
  • 給付金申請中の間の生活費には「臨時特例つなぎ資金」

3.国が運営している制度だから、安心の低金利または無利子

「求職者支援資金融資」は、年2.5%(保証料として別途0.5%が必要)。
「総合支援資金」は、連帯保証人がいれば無利息、いなくても実質年利率1.5%。
「臨時特例つなぎ資金」は、なんと無利息・無担保・連帯保証人なし!

4.デメリットもある

  • 利用条件が細かく、誰もが利用できる制度ではない
  • 提出しなければならない必要書類が多い
  • お金を借りるまでに時間がかかる

監修者(ファイナンシャルプランナー)からのアドバイス

監修者(ファイナンシャルプランナー)からのアドバイス

転職や失業など経験されたことがある方が大半ではないでしょうか。事情により仕事を辞める・失業をし求職活動に専念される方もいらっしゃるかと思います。精神的負荷もかかります。また生活費などのお金が足りるかなども悩むかと思います。この記事の通り「国の支援制度」があります。しかし自らの申請が必要かつ支給開始まで時間がかかる場合が多いです。経済的な不安を軽減するためにも迅速に国の支援制度を活用してください。

成川由利子氏の詳細はこちら

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